「あなたのECサイトは本当に儲かっていますか?」
売上のトップラインを上げることしか追っていない、なんてことはありませんか?
EC運営代行ディレクターの高橋です。
「集客数×客単価×CV率=売上」
これはECでは釈迦に説法の方程式ですが、商売として考えると売上の先の利益まで考えなければいけません。
売上のトップラインを上げることは勿論重要ですし、見栄えも良いですが、利益も上がらなければ事業として存続しません。
この記事ではEC運営支援の経験から、ECサイトの利益構造を考えたいと思います。
目次
- 商品原価、仕入れ費用
- Webマーケティング費用
- システム費用
- 倉庫費用、出荷費用
- クレジットカード手数料、代引き手数料
- 販促費用
- 商品登録費用
- 結果ECサイトの利益はいくらになるのか?
- まとめ
1.商品原価、仕入れ費用
例えば10,000円の商品が売れた場合、10,000円全てが収益になるわけでは当然ありません。
自社で開発した商品を売った場合は、商品製造の為の原価が発生しています。
仮に原価が30%かかっているとすれば、粗利は7,000円となります。
仕入れで販売した場合、仕入れ原価が発生しています。
60%の価格で仕入れた場合、粗利は4,000円となります。
このように商品には原価が発生する為、売上=利益にはなることは基本的にありません。
2.Webマーケティング費用
ECサイトへ集客し、購入して頂く為には、Webマーケティングは必須となります。
ECサイト売上の5~10%ほどが目安で、定期購入にアップセルさせる単品通販では、LTVを考えて10%以上の投資をしていることも多いです。
集客は検索エンジンやSNSからの流入が主なECサイトが多いと思いますが、ECサイトの集客には広告がよく利用されています。
リスティング広告、リターゲティング広告、ディスプレイ広告、ショッピング広告、Facebook広告、Instagram広告、Twitter広告、などなどがあります。
課金方法はクリック課金やインプレッション課金などありますが、どちらにせよ広告になるので、費用が発生します。
Webマーケティング費用は、広告費だけではありません。
オーガニックからの集客を増やすためにSEO対策を行ったり、LPからの購入を増やすためにLPO対策を行うことがあります。
これらは集客やCV対策の為、Webマーケティングと言えますが、アウトソースしている場合は制作費などが発生します。
3.システム費用
ECサイトの運営には、システムの費用が発生します。
カート費用、サーバー費用、ドメイン費用などが必要で、価格はシステムによってピンきりです。
安いものでは月額1,000円ほどで使えるものもありますし、高いものでは月額10万円以上のシステムもあります。
これはECサイトで実現したい要件、コスト、売上のバランスを見て選定されていることが多いです。
ECサイトでは、集客やCV対策、リソースカットなど、様々な目的のサービスがあります。
メルマガマーケティング、Web接客、チャットサポート、他社サービスのアカウントを使って決済できるサービスなど、ここでは挙げきれないほどのサービスがあります。
マーケティングを簡易的に出来るようになる魅力的なサービスが沢山ありますが、これらも費用が発生するので、費用対効果と運用リソースを考えた導入を行う必要があります。
4.倉庫費用、出荷費用
ECサイトで販売する商品の在庫を持つ場合、倉庫などの管理場所が必要となります。
その場合は保管場所の費用(倉庫の坪単価や家賃)が必要となります。
商品が入庫する際には、商品の検品や、管理用のバーコードを貼る作業の作業費が発生することがあります。
他にも、返品が発生すれば返品の処理(検品、再入庫処理)費用、ノベルティを同梱する際は同梱作業費用など、商品管理に必要な作業で細々とした費用が発生します。
ご購入頂いたお客様に商品を出荷する際には、配送業者に送料をお支払いして発送を行います。
送料の決めは非常に悩ましいところです。
できるだけ安くしたいですし、○円以上の購入で送料無料と謳うのはECサイトの常套手段ですが、配送業者との契約費用や、配送地域によって送料が変動することも頭に入れなくてはなりません。
(特に一部離島への配送は、数千円かかる場合があります)
配送業者との契約費用、注文するお客様の地域の比率、お客様から頂く送料、注文単価と粗利率を考慮し、利益が出るように送料を決める必要があります。
出荷費用は送料だけではありません。
ダンボール、PP袋などの梱包資材費用が発生します。
ブランディングの為に梱包資材にロゴを印字したり、カラーを入れたりする場合は、梱包資材費が高くなります。
5.クレジットカード手数料、代引き手数料
注文時にお客様がクレジットカードで決済された場合、決済手数料が発生します。
手数料は利用するサービスによってパターンが異なり、%で発生するパターン、トランザクションの件数で発生するパターン、固定費用がかかるパターンなどがあります。
決済手数料が発生するのはコストとして大きいですが、キャッシュレス化が進むこのご時世に、クレジットカード決済はECサイトの決済方法として必須と言えます。
あまり見かける機会は少ないですが、代引き手数料を無料にする販促を行った場合、ショップ側で負担する必要があります。
6.販促費用
ECサイトは会員獲得の為に、ポイント付与を基本ルールにすることが多いです。
このポイントは当然ショップ負担となります。
実店舗と同じく、ECサイトは販促を行う必要があります。
集客のネタにもなりますし、CV率アップにも繋がります。
他にも、ショップの在庫を処分したい、等の都合の場合もあるかと思います。
多くのECサイトは販売価格の1%を基本ルールにしておりますが、キャンペーンの際にはインパクトを出すために「ポイント10倍」ぐらいまで引き上げるショップ様もよく見かけます。
ポイントを大きく付与しておけば、リピート購入にも繋げることができます。
他にも購入時に値引きとなるクーポンも、ECサイトでスタンダードな施策です。
これらの販促費用も、ショップの負担となります。
7.商品登録費用
ECサイトの商品を販売するまでには、いくつかの作業工程が発生します。
まず、自社で撮影を行うのであればカメラやストロボ等の機材、背景紙や装飾用の備品が初期投資として必要となります。
撮影ではカメラマンのコストが最低でも必要となり、ケースによってはモデル、スタイリスト、ヘアメイク等のコストがかかります。
撮影が終わったら、画像の加工が必要となります。
ECサイトで設定している商品画像のサイズにトリミングをする作業が、最低でも必要となります。
ECサイトを訪問してくれたユーザーに「欲しい!」と思って頂けるような画像でないと意味がないので、色味や明るさの調整、シワや背景紙をキレイに見せる為の合成や加工も行う必要がある場合もあります。
画像加工の作業はphotoshopというアプリケーションを使用して加工するケースが多いですが、簡易的な画像加工であればフリーで提供されているアプリケーションでも対応できます。
画像の準備が終わったら、商品データをECサイトに登録していく必要があります。
これは実店舗での接客や試着に該当する部分と言えますので、画像だけでは伝えきれない商品の情報を、正確にお伝えする内容を書かなくてはなりません。
商品コメント、サイズ、ボリューム、素材、原産国、数量など、お客様が購入の意思決定を左右する情報を用意する必要があります。
これらの作業はECサイト運営において、ルーティン的に必要となります。
特に商品サイクルが早いアパレル商品の場合は、ランニングコストとして大きな負担となる為、1アイテムの在庫数と粗利を考えて投資する必要があります。
8.結果ECサイトの利益はいくらになるのか?
それでは最後に、ここまでご紹介した経費を差し引いた結果、一体いくらのECサイト利益になるのかを計算してみましょう。
ECサイトの売上が100万円、商品は原価30%のアパレル商品と仮定します。
(以下のコストは、EC運営支援ディレクターをやってきた私の感覚値とロジックで仮定した試算です)
■売上
1,000,000円
■原価
300,000円
■販管費
└Webマーケティング費用:50,000円
└システム費用:20,000円
└倉庫、出荷費用:250,000円
└クレジットカード手数料:50,000円
└販促費用:50,000円
└商品登録費用:100,000円
これを計算すると、利益は180,000円となりました。
利益率は20%を切ってしまいますね。
売上100万円と言うと聞こえは良いかもしれませんが、これがECサイト運営の現実です。
利益率を上げる為には、省けるコストを探す必要があります。
例えば実店舗を持たれている場合は、実店舗のストック置き場を使うことで倉庫費用をなくしたり、出荷費用と商品登録費用を店舗スタッフで作業することで、コストを省き利益率を上げる、といった手段が考えられます。
9.まとめ
いかがでしたでしょうか。
あなたのECサイトは、本当に儲かっていましたか?
ECサイトで儲かる為には、
・売上のトップラインを上げる
・コストを減らす
必要なのはこの2つだけですが、見栄えや響きの良さから前者を意識することが多いと思います。
上司から突っ込まれるのが売上に関してのことが多かったり、コスト面が部下に開示されていなかったり、ということもありますね。
儲かるECサイトを運営する為に、売上と並行してコストも考え、運営を行いましょう。
「私のECサイト、大丈夫かな…?」
ご不安な方は、ECサイトのコンサルティングサービスを利用してみると良いかと思います。
利益を最適化へと導いてくれます。
そもそも「面倒くさそう…」と思った方は、いっそ丸投げした方が楽かもしれません。(笑)