ECサイトの新規立ち上げやリニューアル、運用の見直し、オムニチャネルへの対応など、経営者から担当者まで必要と感じながら、なかなか手を付けづらい課題ですね。
本記事では「経営課題の解決につながるECシステムの開発・リニューアル」プロジェクトの成功プロセスをご紹介したいと思います。
ECサイトのシステム選びで失敗しない為に!リニューアル前にやるべきこと
いきなり「システムリプレイスだ!」から入らない
「ブランドごとにECサイトを立ち上げていたら、システムが別々になりオペレーションが大変なので、システム統合してオペレーションを効率化したい。」
「経営陣から経営目標の数値が下りてきたが、どのようにアプローチすればよいのか手のつけどころがわからない。」
大手のメーカーでは、このような課題が起きていることをよく耳にします。
この課題に対して「では、システム会社を呼んで、要件定義を依頼しよう!」と、いきなりシステムのリプレイスに向けて動いてしまう担当の方が多いと感じます。
実はこの時点でプロジェクトは、ビジネスとして失敗の可能性が非常に高くなってしまっています。
ありがちな失敗例として、プロジェクトを開始してから、
「経営陣から追加で課題・要望がでてきた」
「現場や運用外注先の協力が得られなかった」
「そもそもの目的がわからなくなった」
といった失敗事例を良く耳にします。
ではこのプロジェクトは、どのように進めれば良いのでしょうか。
まず必要なのは「現状・課題・あるべき姿の見える化」
ECシステム開発のプロジェクトを立ち上げるにあたって、まず必要なのが、営業要件を整理し、現状・課題・あるべき姿を「見える化」することです。
「面倒くさい!余計な回り道だ!」と思われる方もいるかもしれませんが、この「見える化」で経営陣との意識併せ、現場との認識併せを行うことで、プロジェクト開始後の巻き戻りや、そもそも経営方針と違うシステムができてしまった、という致命的な失敗を防ぐことができます。
それでは、各「見える化」について、個別にみていきましょう。
現状・課題の「見える化」
まずは、現状の整理から始めましょう。
これには、「組織」「業務」「顧客」「取引先」「市場の状況」など、全体課題と各部署の課題を整理する必要があります。
実際に現場・外注先などにヒアリングをしながら進めていくことになります。
成果物としては、まずはビジネスフローになります。
ビジネスフローを作成することで、全体の流れの見える化が可能になります。
また、顧客の属性や、LTVの見える化、市場の見える化、など広い視野で取り組む必要があります。
あるべき姿の「見える化」
次に必要なのが、あるべき姿の「見える化」です。
これは、先に見える化した現状・課題をもとに、オムニチャネルの観点などもいれて、目的や目標を作っていくことになります。
事業計画と言い換えることもできます。
SWOTや3C分析など、各種の分析フレームワークも活用できます。
ここで、分断している組織・システムを統合すべきか、運用を統一すべきか、などが見えるようになってくるはずです。
経営課題を解決できるか
ここでできた「あるべき姿」が経営課題を解決できる絵になっているか、ということが大きなポイントになってきます。
この「あるべき姿」の絵をもとに経営陣とコミュニケーションをとることで、プロジェクトの成否が決まると言っても過言ではありません。
また、場合によっては、経営課題を解決するために必要なのは、ECのシステム開発では無いのでは、というようにそもそもプロジェクト自体の要否の判断がはいる可能性もあるかと思います。
システムRFPの必要性
「見える化」を行い、社内の認識があったところで、次に必要になるのが、RFP(Request For Proposal)日本語でいうと「提案依頼書」です。
これは、システムの開発依頼をする際に、外注先との認識ずれをなくし、精度の高い見積もり・要件定義・設計をしていくのに必要な書類です。
見える化された現状・課題をもとに、プロジェクトの目的・背景、プロジェクトのゴールなどを設定していきます。
複数のシステム会社に見積もりを依頼する際に、各社の基準をあわせるのにも役に立ちますので是非、プロジェクト立ち上げ時に作成しましょう。
また、見える化・システムRFPを作成しなかった際の、システム開発の難しさを風刺した絵を紹介させていただきます。
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「顧客が説明した要件」
ブランコを製造してほしい、という依頼ですが、この時点で椅子になる板が3枚もある、という機能過剰な要件になっています。
いきなり解決案の提示になっているため、「木にぶら下がって揺れて遊べる」という「本当に解決すべき問題の本質」を伝えることができていません。
この、「本当に解決すべき問題の本質」といものが、実は、顧客自身でもわかっていなかった、ということが失敗の始まり、ということが良くあります。 -
「(開発会社の)プロジェクトリーダーの理解」
顧客の要求は、なんとか理解できて、システムの専門家として椅子になる板は3枚も必要ないので、1枚にするという提案です。しかし、枝1本では、体重を支え切れないと考え、枝2本にぶら下げるという提案になっており、当然、木の幹が邪魔になりブランコは動きません。これをもとに要件定義・開発が進むため、当然、出来上がりは使えないものになってしまいます。
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「顧客が本当に必要だったもの」
本物のブランコほど見た目は良くないですが、「気にぶら下がって揺れて遊べる」という本来の要求は、十分満たせています。本物のブランコよりも安価に実現でき、これが、顧客が本当に必要だったものでした。
実現方法(システム的な要件)の前に、見える化・システムRFP作成をして、それをシステム開発会社に共有することで、このように、安価な解決方法で本当に解決すべき問題を解決できたかもしれません。
(出典:the ProjectCartoon.com http://www.projectcartoon.com/cartoon/586 )
Axコンサルティングの紹介
ここまで、「見える化」「RFP」の必要性を説明させていただきましたが、EC担当者やシステム担当者が既存の業務をおこないながら、これらを進めるのは大変な負荷になってしまいます。
ECを新規で立ち上げる場合は、担当者がECの知識・経験が無い、ということもあると思います。
また、経営課題を意識したうえで、全社的・統合的な視野での「見える化」「RFP」の作成ができるかどうかという課題もでてきます。
実際にどのような形にすれば良いのか、知識や経験がないとなかなか進められない、という問題も出てくるかもしれません。
「Axコンサルティング」は、経営レベルでの課題解決をご提案させていただくコンサルティングサービスで、詳細にヒアリングをさせていただきながら、どのような提案・納品物が必要かというところから検討・提案させていただいております。
ご担当者様が経営層とのコミュニケーションに使えるよう、経営目標・課題への回答となるようような形で提案させていただくことが可能です。