ネットショップを運営するうえで、頭を悩ませるのが価格設定です。安すぎても利益が上がらないし、高すぎても買い手がつかない……。
この記事では、価格を決定するうえでの基本的な考え方を提案していきます。後悔しない値付けについて、考えていきましょう。
目次:
小売価格の計算方法を知ろう
競合他社と比較して価格を設定しよう
人間心理を活用して収益増を図ろう
おわりに
○小売価格の計算方法を知ろう!
価格を決めるにあたって、さまざまな戦略が存在します。そうした戦略を説明する前に、まず前提として知っておくべき価格を紹介します。
それが、定価とメーカー希望小売価格です。
まず定価は、あらかじめ決められた販売価格のことで、原則として値上げや値下げは認められません。つまり、価格設定に悩む必要はないということです。
そして、メーカー希望小売価格は、商品を作っているメーカーなどが設定した参考価格のこと。定価のように拘束力はないため、小売店が値段を自由に変えてもOKです。
定価やメーカー希望小売価格は、その性格に違いがあるとはいえ、あらかじめ価格が提示されているため、それにならって価格を付けるのもひとつの手です。
しかし、こうした価格設定にしているだけでは、必ずしもショップの経営がうまくいくとは限りません。ときにはさまざまな戦略を講じて価格を決めていかなければならないのです。
まず、小売価格を計算するベースになる簡単な計算式を紹介します。
小売価格 = [(商品コスト) ÷ (100 – 収益(%))] x 100
たとえば、商品コストが1000円で、確保したい収益を50%とします。その場合、小売価格を以下の通りに計算することができます。
小売価格 = [(1000) ÷ (100 – 50)] x 100
小売価格 = [(1000 ÷ 50)] x 100 = 2000円
例の場合は、小売価格を2000円に設定することで希望の収益を上げることができるのです。
「収益(%)」の設定は自由ですが、基本的には50%以上あれば安心です。また、戦略によって、収益のパーセンテージは異なりますが、基本の小売価格はすべてこの計算方法で導き出すことができます。
○競合他社と比較して価格を設定しよう
さて、ここからは多様な戦略について解説していきます。
●競争志向型価格設定
その名の通り、競合他社との争いに勝つために、他社の商品よりも低い価格を付ける戦略のことです。
その際に参考にすべきなのは、比較価格です。
比較価格とは、競合社の価格データを基準値として使った価格のことで、その価格よりも低く設定します。そうすることで、ひとつひとつの収益は下がりますが、購買数が増えることによって結果的に他社よりも多く収益を上げることができます。
この際、他社よりも価格が安いことをしっかりアピールしておかなければただの損失となってしまうので、PRには余念がないようにしましょう。
●プレミアム価格
競争志向型価格設定とは真逆の発想で収益を上げるのが、このプレミアム価格です。
要するに、比較価格よりも値段を上げて収益を増やそうとする戦略のことを指します。
意図的に自分たちの商品価格を高く設定することで、より贅沢で、高級で、稀少価値の高いブランドであることをアピールします。
ブランディングさえ成功すれば、購買数は減ってしまうものの、商品ひとつひとつの単価が高いので、収益を上げられるというカラクリです。
ただし、高級志向のブランディングをおこなうには、事前の準備や顧客対応などでそれ相応の振る舞いが求められるので、注意が必要です。
○人間心理を活用して収益増を図ろう
次に、人間心理を利用して購買意欲を高めるような価格設定について紹介します。
●端数価格
スーパーなどで買い物をしている際、「99円」「998円」など、一見すると中途半端な価格で商品が売られているのを目にすると思います。
これを「端数価格」といい、キリのいい「100円」や「1000円」といった価格の商品に付けられます。こうすることによって、たった数円しか変わらないのにものすごくお得に感じてしまうという、消費者心理を突いているのです。
2000円のものを1000円に値下げするよりも、たった20円値下げして1980円にしたほうが購買意欲をそそる、などというデータも存在しているようです。
●複合価格
複合価格は、抱き合わせ販売(バンドリング)に対して付けられる価格のこと。
たとえば、紅茶を販売するだけでなく、紅茶とカップのティーセットとして販売するといった手法です。
500円の紅茶と500円のカップを別々に販売していたとして、カップの売れ行きが良くなかったとします。そこで、ふたつをティーセットとして1000円で販売することによって収益を出すといったことができます。
複数の商品をまとめることで、よりお得感を演出するのです。さらに、例の場合では売れ行きの悪いカップの在庫も捌くことができ、まさに一石二鳥です。
○まとめ
今回は、ネットショップ運営における価格の付け方ついて紹介しました。価格の付け方をどうすればいいかわからない……とさじを投げていた方にも、理論をわかっていただけたのではないでしょうか。
しかし、最善な価格の付け方はショップによってそれぞれ異なります。自分に合った価格設定を試行錯誤してみてはいかがでしょうか。